硬質アルマイトで着色は可能?
- お客様の課題
- 硬質アルマイトで任意のカラーに着色したい、というご要望を多くいただきます。
- 課題解決のポイント
硬質アルマイトはうまく染まらない?
かつて「硬質アルマイトは染色が難しい」と言われていました。硬質アルマイトは硫酸アルマイトよりも皮膜が厚く緻密であるため、染料の浸透性が低く、濃淡ムラや色落ちが発生しやすかったため、「硬質処理=無着色」ということが業界の常識でした。しかし現在では、電解条件や染色工程の工夫によって安定した着色が可能となり、耐摩耗性と意匠性を兼ね備えた硬質アルマイト製品が実現できるようになっています。
硬質アルマイトの自然発色
硬質アルマイトでは、染色を行わなくても材質の違いによって皮膜が自然に色づきます。例えば、A5056・A6061・A6063といった合金は、膜厚が増すにつれて灰色がかっていく傾向があります。一方で、A5052やA7075などは黄土色、あるいは黄色みを帯びて発色していきます。これは合金中の成分と電解条件の影響によるもので、同じアルマイト処理でも材質ごとに仕上がりの色調が異なるのが特徴です。
白い硬質アルマイト
アルマイト処理で「真っ白」に仕上げることは技術的に不可能です。アルマイト皮膜は本来透明であり、素地アルミの色調や光の反射によって見え方が決まります。そのため、実際には銀色に近い外観を「白アルマイト」と呼ぶお客様も多く存在します。特に外観部品や装飾用途では「白=銀色」という認識で依頼を受けるケースがあり、仕上がりイメージの擦り合わせが重要となります。
黒つやあり硬質アルマイト
黒アルマイトで光沢を得たい場合、処理前に化学研磨を行い表面を平滑化させることでつやを出します。その後にアルマイト処理と染色を行うと、研磨で得られた光沢がそのまま残り、深みのある黒色に仕上がります。これにより、外観品質が重視される光学部品やデザイン性を求められる外観部品でも、高級感のある黒つや仕上げが実現可能となります。
黒つや無しアルマイト
黒アルマイトでつやを抑えたい場合、処理前にサテン処理を施して表面を細かく荒らし、白っぽくマットな質感に整えます。その上でアルマイト処理と黒染色を行うことで、光沢を消した落ち着いた黒色に仕上がります。内部部品や摺動部品、またはステンレスや鉄と組み合わせる部材など、意匠性よりも硬度や機能性が求められる用途で多く採用される表面処理方法です。
- 行った処理
- 春日井アルマイト工業では、手動ラインによるカラーアルマイト処理を行っています。自動ラインでは難しい止まり穴(袋穴)や細長い形状の内部まで皮膜を形成することが可能で、エアーポケットを防ぎながら高性能なアルマイトを実現。これにより、内部からの腐食対策にも効果を発揮します。熟練の職人が製品を揺動させながら丁寧に処理することで、複雑形状でも安定した仕上がりを提供できる点が当社の強みです。
この手作業ラインで柔軟に対応できる体制があることにより、お客様のご希望に近いカラーアルマイトを行うことができます。