A2000系へのアルマイト
- お客様の課題
- B社様は、A2000系へのアルマイトを行いたいと思っておりましたが、いつもアルマイトを依頼している他社に断られてしまいお困りでした。
- 課題解決のポイント
A2000系アルミニウム合金とは?
A2000系アルミニウム合金は、アルミニウムに銅(Cu)を主要な添加元素として加えた合金で、「ジュラルミン」や「超ジュラルミン」とも呼ばれる高強度合金のグループです。
アルミニウム合金の中でも特に強度が高く、鋼材に近い強度を持つため、航空機部材や高強度を要求される機械部品によく使われます。また、切削加工性に非常に優れており、複雑な形状の部品を高精度に加工するのに適しています。
アルマイト処理との相性
A2000系合金は、高い強度を持つ一方で、アルマイト処理との相性は一般的に悪いとされています。これが、他社で処理を断られる主な原因です。理由は以下の点が挙げられます。
- 1. 膜厚と硬度の不安定さ:主要な添加元素である銅(Cu)が、アルマイト皮膜の生成を妨げます。A2000系は銅の含有量が高いため、アルマイト処理をしても均一で厚い皮膜が形成されにくい性質があります。
結果、皮膜の成長速度が遅く、目標とする膜厚や高い硬度(特に硬質アルマイトの場合)を安定して得ることが困難になります。
- 2. 耐食性の低下:A2000系合金は、添加元素の性質上、アルマイト皮膜がない状態では耐食性が低いです。さらに、不安定な皮膜が形成されることで、耐食性が十分に向上しない可能性があります。
- 3. 外観色と着色の難しさ:A2000系合金をアルマイト処理すると、銅の成分の影響で皮膜が茶色や褐色を帯びる傾向があります。
また、均一に発色させることが難しく、特に黒アルマイトのような濃色を均一に仕上げるには高度なノウハウが必要です。
したがって、A2000系へのアルマイト処理を成功させるためには、特殊な前処理やアルマイト浴の管理に関する高度な技術とノウハウが不可欠となります。
- 行った処理
- 春日井アルマイト工業では、A2000系アルミニウム合金へのアルマイト処理について長年の豊富な実績と独自のノウハウを蓄積しています。他社では困難とされるA2000系への処理を可能にするのは、以下の点にあります。
・特殊な前処理技術: 皮膜の生成を妨げる銅の影響を最小限に抑えるため、素材の状態に合わせた特殊な前処理工程を適用します。
・高度な処理条件調整: アルマイト浴の温度、電流密度、処理時間といった条件を精密に調整するノウハウを持っています。これにより、銅の成分に影響されることなく、均一で安定した皮膜の形成を実現します。
・多様な合金への適応力: A2017やA2024といった異なるグレードのA2000系合金に対しても、その成分比率に応じた最適な処理条件を適用し、ご要望の膜厚と硬度を確保します。
このノウハウにより、どんな素材のご相談にも対応することが可能となっております。